なのにどうしてこんなに胸が痛むのか。 どうしてこんなに浩平のことが頭に浮かぶのか。 その答えに気づいたけれども気づかないフリをしたのは自分を守るため。 もう傷つきたくないんだ。 教室から一歩も出なかったあたしは浩平に会うこともない。 気付けば放課後になっていた。 「真保~帰ろうぜ。」 鞄を片手に矢島があたしの机に近付いてきた。 ああ… そうだった。 今日は矢島と帰るんだ。 「うん、帰ろっか。」 荷物を鞄につめてあたしも立ち上がった。