ナミと暮らして一年経って生活が落ち着いてきたから、ナミは学校にも通わせてくれた。
小学四年生くらいから虐待が酷くなって学校に行ってなかった。
人間付き合い苦手だし、勉強もぜんぜん分かんないから、俺は行きたくないって言ったけど、ナミは義務教育だからって。
制服とか教科書なんかも買ってくれた。
だからナミには睦野たちのことは言えなかったんだけど、見えるところに痣とかあったし、ナミは俺が虐められてるって気づいたんだと思う。
出来るだけ普通に中学通って高校行って働いて幸せになってほしい。
でも、クオが傷つくなら学校なんか行く必要ない。
ナミはそう言ってくれた。
だけどそんな奴らから逃げていいのか?
逃げちゃ負けだよ。とも言った。
悔しかったから俺は学校に行き続けた。
辛くなったら逃げておいで。
そう言ってくれたから俺は頑張れた。
ナミと過ごした一年と十ヶ月は本当に幸せだった。
だけど、そんな幸せももう戻って来ない。
俺とナミの幸せな生活は雪も降らないくそ寒いだけのクリスマスイブで幕を閉じたんだ。
俺の時間は止まったままあの日から動かない。
動けない。進まない。
俺はこれからナミがいない真っ暗な世界で、生きて行かなきゃならないんだ。

