「…………遅せぇよ、馬鹿。」
「ナミは……?」
ルキは俺の腕を掴んで病室を出た。
病室の外で待っていた竜と長尾に事情を話してる暇もなく、お礼を言って俺はルキについて行った。
来たことのない部屋の前でルキは止まった。
ドクドクと心臓が速くなって、胸が引き裂かれそうだ。
ドアを開けたくなかった。
ドアを開けてしまえば、ナミと楽しく過ごしてたあの頃には一生戻れないと思った。
入院してても会えていた毎日は永遠に終わってしまうと思った。
神様に祈っても助けくれない。
だから俺はカイトにお願いした。
―――――まだナミを連れて行かないで。
薄暗い部屋の空気はめちゃくちゃ重たくって、俺は中に入れず入り口で立ちすくんだ。
「クオ。」
ルキに手を引かれるが中に入れない。
足が動かない、いうことを聞かない。
「やだ……」
この部屋に入ればナミの死を認めたみたいだ。
「クオ、ナミは……」
「やだ、聞きたくない!!」
やめて、言わないで。
ルキの言葉を遮断するため俺は耳を塞いだ。
ナミの顔を見れば嫌でも現実を受け入れなくちゃいけない。
俺は、まだ認めてられない。
ナミが死んだなんて受け入れられない。
「ナミは死んだんだよ……っ」
「やめてルキ!!言わないでッッ」

