「ば…か……っ。」


初めにでた言葉はそれだった。


ナミは少し笑った抱きしめてくれた。


あたたかい……。


ナミはまだ生きている。


「言ったじゃん。クオの作ったケーキ食うまで死なないって。」


ゆっくり背中を撫でてくれるナミ。


「う…ん……っ」


良かった。


ほんと良かった…っ。


ナミの存在を確かめる様に、俺はぎゅぅーって抱きつく。


数人分の足音が聞こえて、それからドアが閉まる音が聞こえた。


たぶんルキ達が出て行ったんだと思う。


「クオ、泣いてる?」


「泣いてない。」


「嘘つけ。」


「………嘘じゃないよ。」


俺はそっとナミから体を離す。


「俺はもう泣かないから。だから心配すんな。」


俺の言葉を聞いてナミは驚愕したあと、はにかんで言った。


「……ほんと大きくなったな。」


「はぃ?」


「出会ったころは、どうしようもないくらい泣き虫だったのにさ。」


「…………。」


ナミが馬鹿にしてくるけど、まぁ、確かにそうなので強く反論出来ない。


ナミと出会ったころは、どうしようもなく泣き虫で、怖がりで、人を信じれなかった。


「ナミのおかげだよ。」


ナミと出会ってから、すぐ泣かなくなった。


怖いものも随分と減った。


少しだけど人を信じることが出来る様になった。


ぜんぶナミのおかげ。