「お腹空かない?なんか食べに行こ。」
「いい…。俺、ナミの傍にいる」
背後でユメが困っているのが分かる。
だけど、俺はここを離れられないんだ。
ごめんね。
そっとナミの手を握る。
あたたかい……。
「クオ。」
再び静寂を破ったのはルキだった。
「帰んぞ。」
ルキの口調はユメと違って全然優しくない。
まあ、ルキらしいけど。
「やだ。」
「ダメ。帰るぞ。」
「ナミが目を覚ますまでここにいる。」
俺の言葉を聞いてルキは舌打ちをして、俺の腕を強く掴んだ。
そのまま病室から連れ出そうとする。
「やだ!離せよ!!!」
手を振り払おうとするけど、力じゃ適わなくてズルズルと引きずられていく。
「ルキ!嫌っ!俺はここに居る!!」
「うるせぇよ。病院なんだから黙れ。」
振り返ったルキは冷たく言い放った。
「おい、ルキ。言い過ぎだろ。もうちょっとくらい居ても良いっしょ?」
睨み合う俺たちの間にトアが仲裁に入って、ルキに俺の腕を離させた。
ルキはうるせぇよと言いトアを睨む。
そんなルキにトアも頭にきたらしく、お前は人として冷たいんだよ、と言い返す。
このままじゃルキとトアの言い争いが始まりそうになったとき……、
「二人ともそれぐらいにしとけ。」
すかさずユメが止めに入った。
トアは舌打ちしてルキから離れた。
ユウはそんなやり取りに目も向けずに、ベットで眠っているナミを見ている。

