「良いけど、他の患者さんに迷惑かけちゃいけないよ?」
「うん、ありがとう。じゃあ、俺ナミのとこに行ってくるね。」
ベンチを立って俺は病室に向かった。
「ってことでクリスマスパーティーしよ!」
キラキラと目を輝かせながらナミを見る。
「良いけど、そんなのじぃさんが許してくれんのか?」
去年、隣の竹下が怒鳴り込んできただろーが、って思い出してんのかナミが口元を緩めながら言う。
「ナミは個室だし、立松先生が良いってさ!俺ね、ユメに教えてもらってケーキ作るんだ。去年ナミと作ったやつ。苺いっぱい乗せるから楽しみにしててね!」
「期待してるよ。」
「おう!てゆーか、ナミもバンドしてたんだね。」
昨日ルキたちから聞いた話をする。
「教えてくれれば良かったじゃん。」
「でも、ま、昔の話だしね。」
「俺もナミの歌聞きたいー。」
「クリスマスソング歌ったし、誕生日も歌ったじゃない。」
「ナミのバンド見たいな〜」
言ってすぐに自分の言葉に後悔した。
ちらっとナミを見れば笑っているが、あれが作り笑いだってことは俺でも分かる。

