―――ピンポーン
インターフォンが鳴った。
不審に思いながら玄関へ向かう。
「はい…？」
少しだけドアを開けると、閉まらないようにドアをガシッと掴まれて驚いた。
「忘れもん。」
「……ルキ！？」
ずかずかと部屋に入ってくるルキに何だよって尋ねながら着いていく。
「だから忘れもんだって。」
「はっ？……って、」
気づけばルキの腕の中で……。
俺…抱きしめられてる？
「ちょ、ちょっと……！」
「いいから黙って抱きしめられてろ。」
「はぁ？なに言ってんだよ！」
抵抗してみてもぜんぜん離してくれない。
なになになになに！
何で俺はルキに抱きしめられてんだよ…！
「あんなに寂しいって顔されて見送られても、黙って帰れねぇっつーの。」
「…………ッッ！」
ルキの言葉に一気に顔が赤くなるのが自分でもよく分かった。
「お、俺…そんな顔してた？」
「してた。」
「ぇﾞー……」
めちゃくちゃ恥ずかしい。
つーか、俺………。
「寂しかったんだ………。」
ルキの胸に顔をうずくめながら呟いた。
俺は矛盾している。
他人が怖いのに、独りが寂しいなんて。
ルキにそう言うと、それが人間だって言っていた。
どこまでも欲深いのが人間なんだと。
ルキの言葉を聞きながら俺は目を閉じた。
