あ、でも、さすがに今は心配かけるかも。


こんなに顔面を思いっきり殴られたのは初めてだし。


「んじゃ、お前の容態確認したし俺は帰るわ。」


ルキを送りに玄関まで着いていく。


「ルキ………」


「ん?」


「その、ありがとう……。」


こないだの事もあって、怪我の手当てのお礼を言うだけなのに恥ずかしい。


「ナミの頼みじゃなきゃ、誰がお前みたいなクソガキの様子見にくるかよ。」


ルキは一瞬、怪訝そうに俺を見てからぶっきらぼうに言った。


「はあ?」


人がせっかく礼を言ってんのに……っ。


顔を歪める俺を無視してルキは出て行った。


やっぱアイツは最低だ。


少しでもいい奴だと思った自分が一気に馬鹿らしくなってきた。


リビングに戻ってテーブルの上には薬局の緑の袋とは別に近くにあるスーパーの白い袋があることに気づいた。


ルキの忘れ物か……?


忘れ物なんかすんなよ、めんどくせぇな。って心の中で悪態をつきながらビニール袋の中を見てみた。


袋の中には弁当の他にプリンやシュークリームなど俺の好物が入っていた。


もしかして、俺に……?


「……………。」


確かにナミに様子見てくてくれって頼まれたかもしれないけど、わざわざ薬局まで行って手当てする義理なんてない。


ましてや、この糞寒い中こんなの買ってくる理由なんてルキにはない。


冷たい態度と裏腹にこうしたルキの優しさで、どんどんルキがいい奴かそうでないのか分からなくなっていく。