「おい、大丈夫か?」
「なっ…ぁ……ぐっ…ふ、ぁ…はぁ……ッ、」
聞きたいのに息が苦しくて、上手く言葉に出来ない。
「………とりあえず家まで行くぞ。歩けるか?」
確かにここにいても目立つだけだし。
何より寒い……。
差し出されたルキの手を無視して立ち上がろうとしたけど、寒さやらフラッシュバックした記憶の恐怖やらで……。
訂正。
あんなやつらに恐怖を抱くとか自分にムカつくから、やっぱ寒さだけ。
とりあえず、体中ガクガク震えて上手く足に力が入らず自力で立ち上がれない。
「はぁ…はッ、…ゃだ………ぅ、あ…っ」
苦しいし立てないし嫌なこと思い出すし涙は溢れてくるしでテンパっていく俺は自分を抱きしめながら小さくうずくまる。
やだ、やだ、苦しい……。
助けて、たすけて、タスケテ……。
不意にふわりとルキの香水の匂いが強くなった。
「大丈夫。ただの過呼吸だから。」
ルキは自分の胸に軽く俺の頭を押し付け、反対の手で背中をさすってくれた。
「は、……ぁ……ッッ」
「ほら、ゆっくり息してみ?」
言われた通りゆっくり息をしながら、ぽんぽんって小さい子をあやすよう様に頭を叩かれていると、悔しいけどだいぶ落ち着いてきた。

