「退け…っっ」
あの日から今日まで何度かリンチされたことはあったけど、こうやって犯されそうになるのはあの日以来だ。
記憶と同時に恐怖が込み上げてくる。
「ぃゃ、嫌っ……離せ!!!」
暴行されたせいで体中が悲鳴をあげてるけど、そんなの構ってられず俺は必死に暴れた。
「うるせぇ!!」
睦野に思いっきり頬を殴られた。
痛いを通り越してもはや頭がクラクラする。
だけど、このまま好きなようにされるのは死んでも嫌だ。
「竜は居ねえんだから諦めろって!」
「…ッ」
確かに、この学校で俺を助けてくれる奴なんて誰もいない。
廊下で殴られててもみんな見て見ぬふりだ。
騒ぎを聞きつけた教師だって、手を焼いていて止めてはくれるが助けてはくれない。
だから俺は繰り返し殴られる。
だけど、俺は教師は他の生徒に助けてほしいなんて思わない。
面倒事には巻き込まれたくない、世の中そーゆーもんだ。
それが普通だと思う。
俺はずいぶん幼い時にそれを学んだ。
だから俺は助けてなんてもう言わない。
睦野らに逆らってまで俺を助けてくれるのは、竜だけだ。
竜は馬鹿だと思う。
何で睦野らと同等かそれ以上の力を持っているのに俺を助けてくれるのか。
俺なんかほっときゃいいのに………。

