「そうそう……、その顔。」
口角を上げた睦野が俺の顎を掴む。
「ぃ……ゃ………ッ」
体中の震えが止まらない。
ガチガチと歯が情けない音を鳴らす。
「俺、クオのその顔いちばん好き。」
睦野の言葉でフラッシュバックする記憶。
―――お前、生意気なんだよ。
―――仲間に入れてやろーと思ったのに。
―――調子乗ってんじゃねえよ。
この学校に来たばかりで、何が何やら分からないまま、この薄暗くて埃っぽい教室に連れて来られて。
睦野やその仲間たち10人くらいに殴られ蹴られ、そして………。
――――あれ、泣いちゃうの〜?
――――まじカワイイ。ゾクゾクする。
――――もっと酷いことしたくなる。
身も心もグチャグチャにされた。
この教室に入ってから考えないようにしていた記憶が一気に溢れ出す。
やめろ、やめろ、やめろ、やめろ!!!
「あん時は竜が助けてくれたもんな。」
床に押し倒されニヤニヤ笑った睦野が腹の上に跨がってくる。
そう、犯された後だったとはいえ竜が助けてくれた。
竜がいたから俺はあの後も学校に来れた。

