「いい加減離せっつてんだろ。」
俺は睦野の腕を振り払う。
そんな俺の態度が睦野の勘に触ったらしく、教室の真ん中まで突き飛ばされた。
尻餅をついたとこで杉に蹴られて床の上に倒れた。
直ぐ起き上がろうとしたが、四方から蹴られそれも叶わない。
抵抗し続けたが、体力的に限界がきて抵抗するのもしんどくなってきた。
だいたい、平均より小さくて細身で喧嘩だってしない俺が、体のデカさなら高校生にだって負けない喧嘩慣れしてる奴ら三人を相手に勝てるわけがない。
暫くして、やっと終わったかと思われる暴力の嵐に起き上がろうとしたら頭を踏まれた拍子に頬を床に思いっきり打ちつけた。
「……っ゙」
でも、やられっぱなしは悔しいからせめてもの抵抗に奴らを睨む。
そんな俺をみて口を開く。
「なんでお前はそうやっていつでも強気なわけ?」
別にお前らなんか怖くねえよ…。
「竜とはあんなに仲良さそうに喋ってんのに。」
竜はお前らと違う。
一緒にすんな。
頭から足を退けた睦野はしゃがみこんで俺の顔を覗き込む。
「俺らにされたこと忘れた訳じゃねぇだろ?」
睦野の言葉に自分でも分かるくらいビクリ、と体が大袈裟に震えたのが分かった。

