無性に泣きたくなったけど、あんな男に泣かされるくのは悔しいから、唇を噛みしめて堪えた。
「あんな……」
「ん…?」
なーに?って顔を上げてナミを見る。
「あいつ…ルキも悪気はねぇと思うんだ。」
ルキ、って金髪の男のことだよな…。
「ナミはあいつの肩持つの?」
「そうじゃないけど〜…。クオはルキが嫌いか?」
うん、即答するにナミが困ったなって苦笑いをする。
「…………実は私が死んだらお前のことはルキに任せようと思ってんだ。」
「はあ!?絶対ヤだ!」
思ってもみなかった言葉に俺は伏せていた上半身を勢い良く起き上がらせた。
「嫌っつってもなぁ……。」
「自分のことは自分でするから、ナミも自分の心配してよ!」
「何言ってんの。あんたまだ中坊じゃん。無理に決まってんでしょ。」
「…………。」
そりゃ、俺はまだ中坊だけどさ……。
“遅かれ早かれどうせ死ぬんだから”
よりによって、なんであんな……っ。
しかも、キスされたし!!!
美形とはいえ最低ヤローに!
「別にルキは悪い奴じゃねえよ…。まあ、確かにちょっと口は悪いけどさ……。」
「……口の悪さならナミも負けてねえよ。」
ナミは微かに笑った。
そしてまた髪を撫でてくれた。
「別に無理にとは言わねーけど、何かあったらルキを頼れ。」
――――きっと、クオを助けてくれるよ。

