…………なんで俺は今まで気づかなかったんだろう。
ナミに煙草を買ってきてる「誰か」がいることに。
「あんたが買ってきたの…?」
俺は金髪を見る。
「ん…?そーだよ。ナミ煙草好きだし。」
涼しい顔で答える男に俺は無償に腹がたった。
「なんで、煙草も酒も体に悪いことくらい分かんだろ!?」
「……だから?」
「病気の進行速めるよーなことすんな!俺はナミに一日でも長生きしてほしいんだよ…っ」
俺がそう言うと男は煙草をくわえて火をつけた。
ここ病室だし………。
「煙草吸うな、」
「良いじゃん、個室なんだし。」
「火事のセンサー反応すんだろ!」
ナミの言葉にしぶしぶ火を消した。
……ナミの言うことは聞くんだ。
「遅かれ早かれどうせ死ぬんだから自分の都合ばっか押し付けてねーで、ナミの好きなようにさせてやれよ。」
立ち上がった男が俺を見下ろして言った。
そんなことを淡々と冷たい表情で言うこいつが急に怖くなった。
本当にナミの知り合いかよ……。
「死神……。」
何も考えず口から出た言葉。
でも、言ってから確かにと思った。

