いつもビックリするくらい薄着の竜は、こんなに寒くてもどうせ中はTシャツしか着てないんだろう。
「大丈夫。俺が育ってとこ、ここより寒いとこだったから。」
そう言って竜はちょっとだけ笑った。
「……今度、ジュース奢るよ。」
「いや、それあげるわけじゃねーから。」
竜に借りたマフラーをして、病院へ向かう。
病室のドアに手をかけたとき。
「……だ……ぃ…って……」
「…な……だ………い………」
…………話し声?
俺はナミと三年くらい一緒にいるけど、ナミの交友関係は全く知らない。
っつーか、ナミって友達居んの?ってくらい、お見舞いにも誰も来ねーし……。
ま、ナースと喋ってんだろ。
気にせず病室に入った俺は驚いた。
「あ…。」
そこには昨日の金髪の男が座っていた。
「……クオ、お前学校サボって来ただろ?」
「ぅん……。」
正直に答えすぎ!ってナミの言葉より俺は男の方が気になる。
ナミの知り合いだったんだ…。
そこで俺はベッドの上に散らばっている煙草や酒に気づいた。
「もー…、クオがくる前に片付けとけって言ったじゃん。」
俺の視線に気づいたナミがそれらをビニール袋に片付けていく。
ここは病院だから煙草なんて売ってない。
だけど、ナミは簡単に外に出られない。

