俺には友達と呼べる人がいない。


登下校も休み時間もひとり。


まあ、俺って人間不信っぽいとこあるから仕方ないんだけどね。


「さみ〜」


もう12月だし屋上でサボるのは無理だよなぁ。


空はどんより曇っている。


冷たい手にはぁー…、と息をかける。


まじ、寒い。教室戻ろっかな…。


制服のズボンについた汚れを叩きながら立ち上がる。


「あれ、クオ帰んの?」


振り向けば同じ学ランを着た男子生徒が。


名前は竜。


明るめの茶色い髪にピアスにアクセサリー、腰パン。


おまけに俺と同じように授業中に屋上にくるような奴。


でも、同じヤンキーみたいな奴はたくさん居るのに竜はいつも独りでいる。


一匹狼ってやつ?


ヤンキーは嫌いだけど、竜は嫌いじゃない。


むしろ、この学校で唯一話せるやつ。


「ん、寒いし。教室戻るわ。」


教室は居づらいけど、寒い屋上よりはまだマシだ。


「ほんと寒がりだよな、お前。」


「寒いのが嫌いなだけだよ。」


「それを寒がりって言うんだよ」


そう言って竜は自分の首に巻いていた白いマフラーを俺の首に巻いてくれた。


「……竜が寒いじゃん。」


「そう思うならマフラーくらい巻いてこいよ。」


「でも、俺、学ランの中にパーカー着てるし…。」