そんな彼女に俺はいつも苦い顔をこぼす。
「いや、でもな……」
俺だってそんなことは分かってる。
今までそう思っては何度躊躇したことか。
でも…
「つーか、それって正直気持ち悪くないか?」
軽く引かれるようなきがする。
あくまで俺は一度会っただけの男。
しかももうすぐ30になろうおっさんが急に会いに行ったとして、困惑するんじゃないだろうか?
「それって軽く迷惑だよな?」
「でしょうね。むしろストーカに間違われて警察に通報されちゃうんじゃない?」
「おい!」
からかう様に笑われて、俺はすぐに突っ込みを入れる。
悲しいかな。あながち間違ってないだろう現実を付きつきられて、けっこうなダメージを受ける。
ヒラヒラと俺の手元にある彼女のカルテ。
こんなに近くに住んでるのに、会えないもどかしさ。
偶然でもいい。ほんの一瞬のすれ違いでもいいから彼女に会いたい。
そんな俺の願いはいつか叶ってくれるのだろうか?



