「もう、陽生!?」
「あー…はいはい。そうだな。またいつか教えてやるよ」
「いつかっていつ?」
「いや、それは……30年後、とか?」
「はあ?何それ!?そんなに後なの!?」
意味が分からないと声を上げた果歩に、俺は少しだけ笑ってグイっとその体を引き寄せた。
「まぁ、それまで一緒にいろよってことで」
「えっ?」
「果歩。俺のことを好きになってくれてありがとう」
「っ!」
ビックリした果歩に笑い、たまらずギュッと抱きしめた。
……この匂い。
変わらないな。
あの時とまったく同じ香り。
俺の、生まれて初めて感じた甘く切ない、果歩の香り――…



