君の体温


それからはまるで抜け殻のような生活だった。


一気に活力が抜けて、谷底にでも落ちていくような感じ。


俺は、結局その後何も出来ずに泣き寝入りするしかできなかった。










――…



「なぁ。そのバイトって何で辞めちゃったんだ?」



過去から現実に意識を戻した俺はふと、目の前の果歩に何となく聞いた。


実はずっと気になっていたことだった。


どうしてあの時やめてしまったのか。


俺はチャンスとばかりに、目の前の瞳に問いかける。

すると…



「ああ、それね。別に何となく」


「は?何となく?」


「ていうかさ。あの時あの店にやたら私と張り合ってくる女が一人いたんだよね。
自分の方が可愛いとか訳の分からないこと言って。

おまけにさ。終いにはそいつが一目ぼれした客にも私がちょっかいかけたとか言い出して。本当うっとうしかったから、もうあっさりとやめてやったの」