君の体温


再び俺から背を向けて走って行く彼女を見つめながら、俺はギュッと掌のチケットを握った。



ま、いいか…


不思議と焦りはなかった。


こうして初めてまともに話せたからなのか、自分でも不思議なほどほっこりと、気持ちが温かく満たされていた。




あー…やばいな。


本っ気でまずい。


可愛いじゃないか。


マジでハマりそうな予感を感じながら俺は新たな決意を胸に抱く。



絶対ものにする。


あのほっそりとした体をこの腕の中に抱きとめたい。



……なに。時間はたっぷりあるんだ。


俺のペースで、ゆっくりと。


必ず打ち落としてみせるから覚悟しろよ!



三月果歩……



どうかどうか俺だけのものに……