君の体温


「さっき内緒でくすねてきたから。ほら、ばれるとマズイから早くしまって」


「え、ああ……」



キョロキョロと周りを気にする彼女に思わず拍子抜けしてしまった。


早く早くと急かされて、手の中のそれを見た瞬間ふっと顔が緩みそうになってしまう。



……こんなに沢山?


いったい何枚あるんだ?と、思うぐらいの量をみて気持ちがふわっと軽やかになる。



「はは。ありがとう、じゃあ遠慮なく」


「あのさ。もし嫌じゃなかったら、これ持ってまたコーヒーでも飲みに来てよ。じゃないとあいつにピーピー騒がれて仕事にならないから」


「ふっ。分かった。じゃあまた暇な時に……」




会いに来るよ。



ここに。



三月果歩。




君に会いに――…