君の体温


「ねぇ、あんたって今彼女いる?」


「えっ……」


「ほら付き合ってる人とか?この前一緒にいた人ってそういう関係?」


「あ、いや、あれは実の姉貴で……」


「本当?よかった。実はさ…。一緒に働いてるやつがどうやらあんたに一目ぼれしたいで、これ返すんならついでに聞いてこいってうるさくて」


「―――」





ああ。


そっちね…


一瞬期待で息が止まるかと思ったが、どうやらぬかよろこびだったようだ。



同僚……ね。



がっくしうな垂れそうになった俺だったけれど、すぐに気をとりなおすように彼女に言った。




「いや、今はいないよ」



だって君が好きだから。


好きで好きで、今こうして向き合ってるだけで俺の心臓は壊れそうなほど響いてやまない。



「……本当?」


「ああ。けど好きな人はいるけどね」



彼女の瞳を見て真っ直ぐ伝えた。


どうかこの気持ちが彼女に伝わってほしい。


本気でそう願いを込めて…