君の体温


彼女を見つめながら、顔が緩みそうになっていた。


困ったように俺を見つめる彼女にもっと近づきたい。


もっともっと…



だけど、そう思った瞬間彼女は俺から視線を逸らして背を向けようとする。



「じゃあ……、これどうもね」



まずい。


再び遠ざかって行こうとする彼女に、俺はハッと手を伸ばす。


ダメだ。


行っちゃダメだ。


このまま帰したくない。


俺を見て。


もっともっと俺を……











「あ、そうだ」




そう思った瞬間、突然彼女が振り返り、俺を見た。