君の体温


彼女が俺を見つめている。


真っ直ぐと、こんなに近くで。


願ってもない状況に俺は固まったまま、ゴクリと息を飲む。



「……別によかったのに。それ、そのまま君が持っててくれてかまわないよ」


「いや、でもそれは……」



躊躇する彼女に思わず目を細めてしまう。



やべ。可愛い。


夜なのに、薄暗い駐車場の中にも関わらず、彼女の顔が俺にははっきりと見える。


こんなことってあるんだな。


今日はいつになくついてるかもしれない。2度目のチャンス到来に俺は心躍り出しそうなほどテンションが高まっていく。



「……何?私の顔になんかついてる?」


「いや、わざわざありがとう。でも本当それは返さなくていい。いらなかったら捨てちゃってもいいし」



その代わり君がほしい。


思わず本気でそう思った俺は、やっぱり救いようがないほど君に惹かれてるのかもしれない。