その証拠にみるみると表情が強ばっていく彼女。

むしろ顔がひきつっている。



「あの……」


「ふふ。どーう?よかったらお姉さんの所にこない?今なら特別に優しくするわよ」



言いながら彼女の手を握る静香に、俺の恋はあっけなく終わったような気がした。



最悪だ。


勘弁してくれ。


そんな静香に頭を抱えれば、なぜか彼女が俺に視線を向けて何かを訴えるような眼差しを向けてくる。


それはたぶん「どうにかしろよ」的な助けを求めるものだと思った俺は、すかさず彼女から静香の手を離し、「悪い」と謝りながら彼女をここから遠ざけた。



「おまっ、いったい何考えてるんだよ!お前はセクハラ親父かよ!」



彼女が去ったあと俺は小声で、だけど凄い剣幕で静香に向かって怒鳴りつけた。


本気で泣きたくなった。


あー…俺のせっかくの努力が水の泡じゃねーか。