君の体温


少し屈んでメニューを見せてくれる彼女に俺の心臓は飛び跳ねそうだった。

よりいっそう近づいてくる彼女。



やべー

柄にもなく緊張してる俺がいた。


あんなに遠かった彼女が今俺の目の前にいる。



それに、さりげなく見える横顔が驚くほど綺麗だった。


透き通っていて、キメの細かい肌。


くっきり二重に、筋の通った高い鼻。


ほぼスっピンに近いメイクだったけれど、そんなのは関係ないぐらいに魅力的で。


むしろナチュラルに彩られた彼女自信が可愛くて、思わず見とれずにはいられないほどだった。



「ご注文は以上でよろしかったですか?」



そんな時、突然視線を向けられて、俺はすぐに反応ができなかった。



「いや……」


「?」


「あー…、じゃあ他にオススメは?」



そう言うのがやっとだった。


情けね―


ちゃんと普通に笑えてるのかも分かんねぇし。