だけど、彼女はいっこうにこっちには来てくれなかった。


俺達のオーダーを聞きに来た子はまったく違う女の子。


内心つまらなさを感じながらも、とりあえず俺は彼女のことをさりげなく観察することにした。



「ふーん。確かに可愛い子ね。ここで働かせとくにはもったいないぐらいのスタイルだし」


「ああ」


「でも、何となく影がある感じの子よね」


「……ああ」



やっぱり静香にもそれは伝わったらしい。


同じ職業がら、そういうのを見抜くのは抜群に感のいい奴だ。


むしろ俺以上に敏感かもしれない。



「まだ、ここで働き始めて日が浅いのかしら?接客の対応も何となくぎこちないし」


「はは」



確かに。お世辞にも愛想がいいとは思えないな。


ほぼ無表情で、淡々と注文をとっていく彼女。


そのせいか、余計冷たいような、クールな印象が強く残ってしまう。