「どうなってるの!?」

蜂姫の疑問にラシスが答える。


「貴女が気を失った時、リ・シュウの投げた天目宝旗があの女の右腕を切り落としたの。
切断された腕に蓄えられた波動が暴発して、吹き飛ばされた貴女を私が受け止めたのよ。
ディノウンの鎧の加護もあって、致命傷にはならなかったみたいで良かった…」

ラシスは状況を説明しながら安堵の涙を零した。

介抱してもらうはずの蜂姫がラシスの頭を軽く撫でる。

(ホントに優しい娘…)


「究死配者との戦いでは、俺も少しばかり危なかったがな。
熱風の火葬者が俺に向かって特攻自爆して来た時、咄嗟に紅龍の姿に戻って蹴り飛ばしてなければ…
今頃は俺も消し炭と化していただろう」

言いながら地に突き刺さった天目宝旗を抜き取り、派手に振り回して構えるリ・シュウ。


「さあ…
俺は手負いだろうと、女だろうと、立ちはだかる相手には容赦せん。
覚悟は良いか?」

「覚悟………?」

イータは首を傾げた。
彼女のメモリーに、覚悟という言葉は無いようだ。


「…だろうな。
所詮、作り物だ。
腕が爆散する様子だけは本物に近かったがな」