「やめなさいよ、エルダ!」
ウノサスの胸の内を知る蜂姫が、涙目で俺に怒鳴ってきた。
たまらず俺は手を離す。
「わ、悪かったよ…」
「いや、いい。
俺も少し取り乱した」
…しばしの沈黙。
冷たい風が、熱くなっていた頬を撫でてゆく。
「…エルダ。
俺はリ・シュウもラシスも必ず迎えに行く。
でもそれは、本来の目的を遂げてからだ。
そうしなきゃ、あいつらは怒るからな。
俺には深皇なんかよりも、怒ったラシスの方がよっぽど怖いぜ」
重い空気は一同の笑いによって簡単に破られた。
「へえぇ、そうなの?
あのラシスでも怒る時があるんだねー」
「フ…
凶を倒した魔神でも、恐怖する対象が存在したとはな。
一度手合わせ願いたいものだ」
「お前なんか秒殺だよ、秒殺。
怒ったラシスの前では、お前は『水晶の子猫』だ」
…この連中の心の強さの底が見えない。
信頼、勇気、絆…
俺はそれらを何も持っていなかった。
知りもしなかった。
だから…
『異界の仲良し御一行様、他の究死配者をブチ殺してくれてありがとねー』


