「バカな!
たった一人で究死配者の相手をする気か?」
「リ・シュウも同じようにして皆を行かせた。
みんな、それぞれが出来ることをやるしか無いのよ。
そしてエルダ、あなたは深皇のもとに辿り着かなければならないわ」
「エルダ、行くぞ。
この娘は決心したらテコでも動かせないぜ。
例え俺でも…な?」
ウノサスが目配せすると、ラシスはニコリと嬉しそうに微笑んだ。
「さぁ、時間が無い。
ここはラシスに任せるんだ」
信頼しているとは言え、愛する者を残して行くのが一番辛いのはウノサスだろうに…
しかし奴はラシスに背を向けて駆け出す。
振り返りもせず、ただひたすら真っ直ぐに…
ラシスも良い女だが、そのラシスに愛されるウノサスは…
(流石としか言えないな…)
ウノサスが迷いを見せないのに、部外者でありながらも彼らを巻き込んだ当事者の俺が躊躇っていることはできない!
「頼む…!」
俺はラシスに一言残すのが精一杯だったが、それでもラシスは女神の微笑みで返してくれた。


