「ニトアは?
俺の記憶では、ニトアとは深皇と出会う前から知っていたはずだ。
『時の記憶』と『俺の記憶』に食い違いがあるのか?」
「それは…」
ラシスの表情が曇った。
やはり何か隠しているのか?
「ちょっ、ちょっと!
みんな、あれ見て!!」
蜂姫の叫びが、俺達にのしかかる重い空気を破る。
黒い大地が盛り上がり、剣の森を押し上げている!
そして盛り上がった土の頂がひび割れ、中から何者かが姿を現す!
「究死配者……!」
一同が身構える。
「そうだ。
あれは腐土の埋葬者…」
「そう、ナラクアよ…」
崩れた黒山の上で、現れた者が俺の言葉に続いて自己紹介する。
大地の力を操る究死配者・腐土の埋葬者ナラクアは、究死配者の内で唯一の女。
上半身は可憐な、透き通る肌をした美少女。
しかし下半身は…
「アリジゴクの化け物か!」
ウノサスの言葉にナラクアが少し顔色を変えたのを、ラシスは見逃さなかった。
「…エルダ。
この究死配者は、私が相手をするわ。
あなた達は深皇の居る場所に向かって」


