見渡した景色は、やっぱり人で溢れているし、街はごみごみとしているとも思う。


ずっとずっと大嫌いだった。


でも、不思議と力が抜けるように、優しい気持ちになっている自分が居る。


真っ黒い色だと思っていたものは、こんなにもきらきらとしていたのだから。


きっともう、みんな大丈夫や。





辛くない。

寂しくない。

悲しくもない。



だから俺はまた、歩き出した。





犯した罪は、一生を掛けてでも償わなければならないだろう。


誰かの人生を犠牲にし、心に深い傷を負わせた罪。


理乃に話してないことは山ほどあるけど、それでも、そんな手でも幸せに出来るだろうか。


俺は幸せになっても良いのだろうか。


ただ、それでも、この人生を無駄なものだとは思わない。


見なくても良いものを見たし、やらなくて良いことをやった。


たくさんの痛みを知り、悲しみの中で生きていたのかもしれない。


それでも、出会った人に感謝したいんや。


急がば回れと言うけれど、だから俺は今、生きてることを噛み締めている。