共鳴り

嶋さんと、そして数人が到着した。


まだ清人は、手術室の中に入れられたまま。



「嶋さん、ご無事で何よりでした。」


国光さんが立ち上がり、そう頭を下げた時、また俺はハッとした。


もしも違うことになってたら、嶋さんとか他の誰かが刺され、死んでたんかもしれん。


清人は後先考える男じゃないし、誰かが傷つくのを異常に嫌う。


アイツ結局、憎んでても嶋さんの命守ってるやん、って。



「…嶋さん…」


呟いたが、彼は俺を見ようとはしなかった。


それでも、恐ろしく冷たい瞳の奥に、悔しさとか悲しさが見え隠れする。



「ご苦労だったな、国光。」


「…いえ。」


普段やったら、何で動物病院じゃねぇんだよ、とか言われるはずやのに。


そんな状況では決してないんやろうし、嶋さん自身、ひどく疲弊した顔をしていた。


どうにも俺は、彼の“父親”としての顔が見えている気がして、この人を責めようと言う気にはならない。


ただ、人が集まれば集まるほど、事態がどれだけ深刻なのかということがうかがい知れ、やっぱり怖くなった。



「…手、洗ってこいよ。」


俺は頼りない瞳を持ち上げた。



「頭冷やして顔洗ってこい。」


俺は多分、泣きそうな子供みたいな顔やったんやろう。


ずっと俺の方を見ないで言う嶋さんは、もしかしたら申し訳ないと思っているのかもしれない。


頷いて、そしてひとり、俺はきびすを返した。