「どないしたん?
国光さんめっちゃ久々に電話してきて。」


園田の一件があったけど、あの後会ったこの人は普通で、おまけに俺ら見て大爆笑してた。


やからこそ、今も表面上は仲良くしてるんやけど。


やっぱりくちゃくちゃとガムを噛みながら何を考えているのかわからないのはいつものことで、でも、嫌いになりきれへん部分が確かにある。



「俺さぁ、金欠なんだよー。」


「…で?」


「で、銀二と一緒にご飯食べたくなったんだ。」


「つまり、俺に奢ってくれ、ってことやんなぁ?」


そう、と胸を張った彼に肩を落とした。


この人には威厳ってものが皆無で、下の人間にも平気で奢らせるし、顔に緊張感ってものがない。


俺はそんな場合ちゃうのに、って感じやけど。



「用事そんなんなん?」


「そんなん、って失礼な。
銀二は俺が餓死しても良いのか?」


肩を組んで引っ張られ、やっぱり俺はため息を吐き出した。


おまけに俺の意見も無視で勝手にラーメン屋に入ってしまい、相変わらずの自己中っぷりは健在や。


国光さんとおると本気で悩んでるのが馬鹿馬鹿しくなる瞬間があって、俺は少し不貞腐れたように頬杖をついた。



「ギンちゃんご機嫌斜めだねぇ。」


「誰かさんにラーメン奢るためだけで呼び出されたからな。」


言ってやるが、彼は腹を抱えて大爆笑。



「実はまぁ、ちょっと困ったことになってるんだ。」