共鳴り

「…金なら払いますから。」


「お前、それで本当に終わると思ってんのか?
何でも金、金ってよぉ、世の中金で解決しねぇこともあるだろう?」


清人は胸ぐらを掴まれたまま、目を逸らして苦い顔をする。


傍に居たガキ共は、恐怖のあまり固唾を飲んで足を引いた。



「お前の弟か妹かあの女、いらねぇのひとつだけ選べよ。」


何を言わんとしているかが分かる。


清人が死んだってどうにもならないし、コイツが進んでそれを望むだろうこともわかっているからこそ、嶋さんはそう言ったんや。



「選べねぇなら代表は銀二で決まりだなぁ?」


清人は唇を噛み締めたまま、言葉を持てないと言った様子だった。


俺の存在価値って一体何なんやろう、って。



「ギンには何もしねぇ約束だろうが。」


「約束だぁ?
お前、そんなもんが俺の辞書にあるとでも思ってたか?」


嶋さんははっと笑った。



「俺のミスだっつってんだろ!
他は全部何の関係もねぇんだよ、巻き込んでんじゃねぇ!」


清人が声を絞った瞬間、ガッ、と鈍い音が響いた。


思わず俺は目を逸らしてしまい、殴られた清人はその場に倒れ込む。



「口のきき方は教え込んだつもりだが?」


清人は見下され、口元を拭いながら唇を噛み締めた。


横に佇むガキ共は小さく震え出し、いつ自分たちに降り掛かるかもわからない火の粉に怯えていると言った様子や。