共鳴り

普段は何の変哲もない喫茶店であるチャコールは、荒れ果てていた。


倒れたテーブルや壊れた椅子、そんなものの中で横たわる男が一名、これ園田や。


国光さんはその横で新聞を読みながら煙草を吹かしていて、他に男がふたり。


俺と嶋さんが到着すると、少し遅れて清人も到着した。


それプラス、清人が使ってたガキ3人。


まぁ、これで関係者がほぼ揃ったって感じやろうけど。



「大分横に流しててねぇ、結構タチ悪いよねぇ。」


国光さんはへらへらと笑いながら、新聞を読みながらに説明する。



「何かねぇ、借金あったとかだけど、まぁ、関係ないしねぇ。
とりあえずジルくんが気付かなかったのも問題だしぃ、どうしよっかぁ?」


清人は少し身を固めた。


そんな中で相変わらずくちゃくちゃと、国光さんのガムを噛む緊張感のない音だけが響く。



「金はねぇ、俺が回収するよー、もう。
ジルくんって思ったより役に立たないみたいだしさぁ。」


パサリと新聞を置いた国光さんは、未だ横たわる園田の腹を蹴り上げる。


うっ、とくぐもった声が漏れるが、彼はサッカーでもして遊んでるように笑うだけ。



「嶋さんもこんなんじゃ示しがつきませんよー?」


どうすんですかー、どうしてやりましょうかー、と彼は、園田に落としていた視線を清人へと滑らせた。


この人は嶋さんとはまた違った意味で、楽しさだけを求めている。



「ジルくん色々と大変だよねぇ。」


はっとした。


国光さんは、警察の動き、チャコールの金の流れ、そしてレナちゃんのことを探ってたからこそ、最近めっきり俺らの前に現れなかったんやろう。


多分この人は、そんなの全部を知っているんやと思う。


俺は舌打ちを混じらせた。