あんなものが千切れるだなんて、ただ事やない。


そして、殴って欲しかったと言ったってことは。



「…お前、レナちゃんに何やったん?」


「何もやってねぇよ。
ただ泣かせただけ、っつーか。」



だけ、って。



「俺さ、どうしてもダメだったんだよ。
都合良いのもわかってて、それでもレナに会いたかった。」


「…会って、どうするつもりやってん?」


「わかんねぇよ、もう。
俺さ、どうしたら良かったんだろうな?」


自嘲気味に言いながら、清人は視線を落としてしまう。


ダメになったのに会いに行って、んでブレス千切れて、ヤケ酒飲んで殴ってくれー、ってとこやろう。


またコイツは自分をコントロール出来なくなってる。


少なくともレナちゃんと居るようになって、それが減ってたのは知ってたから。



「どんだけダメダメやねん、お前。」


言って、そして俺はその頭を撫でてやった。


レイコさんがどこに行ったのかは知らないけど、まぁ、多分大丈夫やろうし、こんなんで明日から別人みたいになるとも思えないし。


やから良いけど、コイツはどうしようもないで、って。


花穂ちゃんが死んだ時よりはマシやし、ちょっとは大人になったんやろうけど、放っとくと何をしでかすかわからへんところは相変わらず。


俺らの誕生日の、ちょうど真ん中の日やった。