共鳴り

俺らは望んで親がおらんわけじゃないし、それなりに苦労もしてきてん。


変な目で見られることだって多かったけど、園での生活はあたたかかったんや。


それなのに、こんな何も知らんで杓子定規なことしか言えんオッサンとは、長々と話してられるかい、って。



「ちょっ、お兄ちゃん?!」


焦った様子で理乃が追いかけてきた。


が、苛立ち紛れに早足のまま、俺は校舎を出て煙草を咥え、車に乗り込む。


掛け足の理乃も同じように助手席に乗り込んできて、「馬鹿!」と怒られた。



「何考えてんのよ!
大体ねぇ、何しに来たかわかってんの?!」


「進路の話やろ?」


「してないじゃん、全然!」


「したやんけ、最初に数秒。」


うるさいなぁ、と思う。


大体お前、進路の話なんか嫌だったんちゃうんかい、って。


煙を吐き出すと、更に重くなった空の色に気が付いた。



「先生の胸ぐら掴んで喧嘩みたいなことして!
あれじゃダメに決まってるじゃない!」


「えぇねん、別に。」


俺はため息混じりに視線を投げた。



「俺は理乃のためやったらアイツに頭下げても、逆に殴ってやっても構わへんねん。
ただ、あんなアホに知った風に言われるんは腹立つんや。」


言うと、彼女は言葉を飲み込むような顔をした。


ちっちゃい頃の理乃の顔が走馬灯みたく頭の中に浮かび、守ってやるんや、って誓ったことを思い出した。