共鳴り

「家庭での理乃さんの様子はどうでしょう?」


問われ、俺は言葉に詰まった。


そんなん知らん、とはさすがに言えへんくて、理乃の無言の瞳が突き刺さるようや。



「この時期、多感な年頃ですからね。
家庭での生活が学校生活に直結するということもありますし…」


「つまりは家庭環境が悪いんやろう、って?」


「いえ、そういうことじゃないんです。」


じゃあ、どういうことやねん。


はっとしたように訂正の言葉を並べる担任を前に、怒る気さえ失せる。


つか、俺もあんま反論出来へんし。



「…ただ、寂しさから非行に走るんじゃないのかなぁ、と思いまして。」



は?



「本当のご両親も居ない、血の繋がっていないお兄さんとのふたり暮らし、というのは、やはり一般常識の観点から見ても、どうかと。」


バンッ、と机を殴った。


驚いた担任と理乃は俺は同時に見上げるが、もう我慢も限界やで。



「お前に何がわかんねん。
何が一般常識や、俺らのこと知った風に言うん許さへんぞ!」


「…いや、私はただっ…」


「黙れ、カスが。
オドレの尺度で物事はかるヤツの何が教師やねん!」


胸ぐらを掴むと、担任は身を震わせた。


真っ直ぐな一本道通ってきたヤツに、俺らの何が分かるねん、って。



「帰るで、理乃!」