「りぃ、座れや。」


珍しく早く帰宅した俺に睨まれ、理乃はしぶしぶと言った様子で向かい合うソファーへと腰を降ろした。


相変わらず携帯片手で視線を俺に向けることはなく、最悪な態度やけど。



「今日、お前の担任から連絡貰ったよ。」


言うと、さすがに驚いた様子の顔がこちらを向いた。



「思い当たる節ありすぎる、っちゅー顔やな。」


「…で、何?」


「進路のことや。
お前、どうするつもりやねん。」


あぁ、と彼女はため息を混じらせた。


大して重要視なんてしていないような顔で、俺は腹立たしさが込み上げてくる。



「大学でも専門でも、行きたいんやったらちゃんと言えや。
金のことやったら心配せんでもえぇし…」


「家、出たい。」


遮るように、たった一言。


戸惑うように、俺は瞳を揺らした。


現実的すぎて、そして直球すぎて、笑うことも忘れててん。



「もうお兄ちゃんとは一緒に暮らしたくないの。」


家を出るためなら、大学でも就職でもどちらでも良いのだと、理乃は言う。


とにかく俺が嫌、ってことやんな?



「そんな理由で進路決めるつもりなん?」