ぶっちゃけ、万全の策なんかどうなんかもわからんし、どこで内偵に張られてるとも限らへん。


おまけに資料とか顧客リスト、全部その場で押さえられたら終わりやねんから。


それでも、組がヤバくとも、誰も俺らの味方なんかじゃなかった。



「身内売るような真似すんなよ?」


「俺もシャブ抜かなきゃいけねぇなぁ。」


そんな感じやねん。


俺らは結局、組員にとっては目の上のコブ同然で、消えてくれたら願ったり叶ったりなんやから。


清人は覚悟を決めてるような目をしていた。


身ぶるいを覚えながらも、ほどなくしてチャコールはただのバーになり、何事もなく営業しながら、強制捜査を待つことになったんや。


ケツ持ちである清人だけが残るやなんて、それってあんまりやで。


でも、結局嶋さんの言葉は絶対やねん。



「まぁ、ジルに任せときゃ、何とかなるだろうよ。」


それが信頼からくる言葉なのかどうなのかはわからないが、そう言っていた。


少なくとも、ギンよりマシな働きするだろう、と。


俺らの人生は真っ暗闇どころか、常に崖っぷちに立たされてる状態やねん。


いつでも突き飛ばされて、捨てられるように殺される、ってこと。


俺は清人の無事だけを祈ってた。