「カエル」という生き物は
なかなか悲惨な人(蛙)生を送る




私の知る限りその大半は
軽トラックのタイヤの下で息絶え
子供(私含め)の遊び道具にされる


爆竹を口の中に放り込まれ
尻の穴から息を吹き込まれ
貧乏な子供のボール替わりにもなり
空を舞う事もあるし
狭い箱に押し込まれ
「カエルレース」を開催される


一家に一台。カエル様様だ。





壮絶な生存競争を勝ち抜いた強者は
夜になると勝利の凱歌を盛大に行い
次の日は怒れる子供(私)の逆襲に遭う





ある日子供はテレビをよだれで汚した

グルメな外国人が
カエル達をカラっと揚げ舌鼓を打つ

私は胸を踊らせて
カエルを大量に捕まえて親に渡すと
こっぴどく叱られた

次の日は友達と遠投大会を行った。





女子高生に「可愛い」と
言われたかと思えば
ぬいぐるみに対してのみであり

実物は「気持ち悪い」だの「怖い」だの
「ぬるぬるしてる」だの嫌悪の対象だ


中々愛らしいと思うのだが。





私にとってカエルとは

生活の一部であり
かけがえのない存在であり
切っても切れぬ関係だった




私が中学に入った時
通うには遠すぎるため引っ越しした

新しい家の周りには田んぼは無く
心にぽっかりと穴が空いた気がしたが
私はカエルの事など忘れて生きた




寂しくなんてない…
悲しくなんてない…











そうしてカエルのいない生活が続き
3年が経った