レジスターは非常に便利なシステム資源であり、様々な用途がある。

レジスターは他の物に変異出来るものと出来ないものの2通りに分かれる。

たとえばBASEREG(ベースレジ)や、PARAREG(パラレジ)といったレジスターはあらかじめ用途が決まっており、なおかつ繊細でエリアが壊れやすいため他の目的に使用するのは困難である。

しかし、中にはどうでもいいレジスターというものがあり、それらはワークレジなどと呼ばれるのだが、余った時は暇つぶしに変異させて遊んだりするというのがUBE社員の古くからの悪い慣習であった。

しかし、資源が不足しているこのご時世にレジスターを持ち帰り、私利私欲の為に変異させるのは極めて非常識な行為であるのは明白だった。

「無論、その通り。俺がワークレジを変異させてミックスレジにした。こうやって使うのさ、面白いから見ててごらん。」

油川はジュースのファンタグレープ味と、牛乳をコップに半分ずつ注ぎこみ、粉末状にした真っ赤なミックスレジをぱらぱらと振りかけ、割り箸でかきまぜた。液体はぶくぶくと泡立ち、コップから赤い煙が濛々と立ち込めた。

「はい、出来上がり。」


そう言うと、ぐびぐびと喉を鳴らして一気に飲み干してしまった。

「それが美味いんですか?」

「こうすると、味が濃厚になる、気がするんだ。今ではこれが唯一の安らぎなんだ。まぁ、UBEならではの楽しみってとこかな。」

「そんなもん飲んで安らぎ感じてないで、彼女でも作ってください。」

「はっはっは、面白いこというねえ。」