両足、両腕、最後に脳天と、5発の弾丸が突き刺さった。

最後に赤神は「にいちゃん」と言ったように聞こえた。

どしいんと音を立てて彦麻呂は倒れ、全く動かなくなった。

弾丸が当たった箇所から赤い煙がしゅうしゅうと音を立てて吹き出している。

それを物影から見ていた部員たちは安心と思うと集まってきた。

そのとき、不謹慎なことを言うものは一人もおらず、暗い表情をしている。

兄は無表情で動かなくなった弟を見ている。

「おい、見てみろ。どんどん元の大きさに戻っているぞ」

赤い煙が排出されると同時に、彦麻呂はどんどん小さくなっていく。

「赤神の呪いが封印されたってこと・・・か」

元のサイズに戻ったと思ったが、身体からどんどん煙は吐き出され、とうとう手のひらサイズにまで小さくなり、縮小化がやっと止まった。

しかし色は元にもどらず体中が真っ赤なままである。

小さくなって倒れている彦麻呂を取り囲むように部員が集まり、言葉を発する者はだれも居ない。


だれもがあっけに取られている。



いきなり声がした。



「ああ、なんてこった。なんて顛末だ。」

彦麻呂は数オクターブ高くなった声で叫んで立ち上がった。

皆、彦麻呂は死んだとばかり思っていたのでぎょっとした。