赤神は黒松田の声に気が付き、大量の煙を吐きながら突進してくる。

煙にまかれた喘息持ちの黒松田はたちまち発作を起こし、新鮮な空気を求めて逃げまどい、とうとう崖からころげ落ちてしまった。

「何やってんだ、くろんぼが!赤神に洞窟気付かれただけじゃないか」

赤神は洞窟には入れない位大きいが、ガシガシと洞窟の入り口を破壊しはじめた。

「ああ。もうだめだ。殺される。ここまで掘り当てられるのも時間の問題だ。はい、死にました。はい、死にました。」

洞窟の部員は何も出来ず、迫り来る恐怖の渦中でのたうちまわっていた。

背後でぱんという音がして、赤神は動きをとめた。

「彦麻呂よ、その位にしておけ。俺がエフビーオープンだ。次は確実に撃つ。兄だとわかってくれるだろう。」

崖から這い上がってきた、かつてのシステム有識者である油川兄は、声を震わせながら銃口を弟に向けている。

銃口からはゆらゆらと硝煙が上がっている。

「お前をどうやって封印したらいいか、勿論俺も過去に勉強しているから知っている・・・彦麻呂、目を覚ませ。さもなくば鉄杭の代わりに鉄の弾をおまえに撃ち込む。」

一瞬赤神の表情は戸惑ったように見えたが、大麻の煙を口から吐き出しながら実の兄目掛けて走り出した。

「えふびいいくろおおず(FB-CLOSE)!!!」

「えふびいいおおおぷん(FB-OPEN)!!!」

ぱん、ぱんと銃声が響く。