全員が道具を投げ出し、「うぇ~い」と奇声を発しながら彼の周りに集まった。

「おお、すばらしい。良質のレジスターだ。」

固い岩肌からレジスターの頭がひょっこりと見えている。

しかも1つではなく、少なくとも5つは出てきそうだ。

「おめでとさん、おめでとさん。」

石井副調査役は笑顔で八丁浜音頭を踊り始め、掘り当てた部員の周りを練り歩き始めた。

他の部員も踊りを真似て、その英雄を取り巻いてぐるぐると踊った。

当の本人は照れくさそうにしながらも、まんざらでは無い表情、輪の中心で小躍りしている。

「おめでとさん、おめでとさん」

油川は皆より少し遅れてのしのしと輪の中に入ってきて踊っていたが、誰かがすかさず言った。

「油川さんは土俵入りですかな?」

皆がどっと笑う。

油川は踊りをやめて、ムッとしながら

「土俵いりじゃねえよ。」

と言った。