Two Strange InterestS

「まだ後遺症が残ってるのか?」

 翌日、特に理由はないけど彼の部屋へ転がり込んだ私に、出迎えてくれた新谷氏が苦笑した。
 勿論、本人がいることは確認済みである。ただ、今日はお互いバイトなので、あまり長くは一緒にいられないけれど。

 今日はパソコン前じゃなくて、彼の隣に座る。珍しいことをしてみようと思った理由は至って単純明快だ。

「……分かる?」

「何となく、だけど。沢城が疲れてる気がしたから」

 実際、疲れていた。今日も誰かに見られている気がしたから。
 自意識過剰かもしれない。でも、それならそれでいい。何事もなければ、今の私達に実害がなければ、それでいいんだから。

「でも、あれは衝撃的だってば。新谷氏、よく平然としていられたよね」

「まぁ…よくあるシチュエーションだったからな。展開が読めたから、後半は半分もうどうでもいいやって気分だったし」

 さらりと言ってのける彼に、自分の姿を重ねてしまった。
 ギャルゲーをしているときの私も、さっきの彼と同じような視点で考察している。客観的になってしまう傾向が強いから。
 そんな私でも、BLを客観的に見ることが出来るようになるまでには、まだまだ修行が必要らしい。

「……やっぱ、私にはまだBL無理。綾美や新谷氏みたいに楽しめないもん……」

「いきなり楽しめたら、それはそれで凄い才能だな」

 がくりと肩を落とした私の頭に、彼はぽんと手をのせた。
 その手が少し熱い気がして、首をかしげながら見上げる。

「新谷氏……手、熱くない?」

「そうか? まぁ……少し緊張してるし」