Two Strange InterestS

 まぁ、そんな不安はあるにしても、それさえ考えなければ前よりもずっと関係は近づいたと思っているし、私ももっと、彼に近づきたいと思っているから。

 ……事実を思い返して赤面しなくなったってことは、私も大人の階段を一段登ってしまったってことにしていいかな。そういうことにしようっと。
 と、

「……?」

 自分を事実で納得させようとした瞬間、誰かに見られている気がして、立ち止まる。

 大学周辺であるこの周辺地域は、当然ながら遠方出身の学生が多く暮らしている。学生向け一人暮らし用のマンションが乱立し、コンビニがスーパーの代わりになり、当然、道を歩いていれば大学での知り合いに会うことだって日常茶飯事だ。私が住んでいる学生寮は大学の裏手にあるので、サークル活動をしている友達や、寮で出会った友人などと出会うことは、いつものことなのに。

 最初のうちは気をつけていたとはいえ、新谷氏の部屋に入り浸っていることが周囲にバレるのは時間の問題だと思っていた。そして特別に気をつけなくなった今ではすっかり私も噂の的らしいのだが……今までにないタイプの視線を感じることが、最近、ある。

 友達にも冷やかされ、忠告された。「彼の人気は一部で半端じゃないから気をつけろ」って……何が半端じゃなくてどう気をつければいいのだろう。もっと具体的に教えてくれればいいのに。

 まぁ、私も陰口くらいで泣き出すような、弱い肝っ玉を持っているわけではない。ただ……こういうのはあまり好きじゃない。だから、自分から積極的に関わろうなんて思っていないし、周囲を気にして萎縮する必要もないので、私は私のまま、いつも通り、寮までの道を急ぐ。

 途中ですれ違った髪の長い少女を、チラリと横目で捕らえながら。