Two Strange InterestS

 ……嗚呼、今日は衝撃的だった……。
 彼の部屋から帰る道中、先ほどのドラマCDが頭の中で何度もリフレインしていく。

 最初は普通の学園モノのはずだったのだ。転入生が生徒会長に呼び出された辺りからおかしくなっていって、それで……。

 ……あぁ。演じているのも普通にメジャーな声優さんだもんなぁ。あのアニメとかマトモに見れなくなるかもしれないじゃない。

 新谷氏、やっぱりBLが好きなんだなぁ、と、改めて思う。

 だから、ふと、バカらしいことだとは思うけれども。

 私と一緒にいて楽しいのかどうか、不安になることも、ある。

 趣味が合う綾美みたいなタイプの方がいいんじゃやないか、なんて……らしくないことを考えては、一人、ため息をつくのだった。

「……バカみたい」

 愛されてないと思っているわけじゃない。そういえば互いに明確な告白があったわけではないけれど、前よりずっと大切にされているし……あの事件からもうすぐ1ヶ月、泊まったのはあの一度だけじゃない。むしろ最近は多ければ週の半分は彼の部屋に泊まっていた。まぁ、ゲームに興じる割合が高いけれど、最終的には……。

 付き合う、という関係が互いの告白によって成立するのであれば、私と新谷氏はまだ「付き合っている」とは言えないのかもしれない。だけど、少なくとも私は、彼を下の名前で呼べるようになるまで、どこまで近づいていいのか測りかねているのも事実なのだ。

 「好きです」――言葉にして伝えてしまったら、何かが壊れてしまう気がした。

 彼の心には、まだ、笑えない過去が突き刺さっている。そんな不安を確かめられないまま、彼に抱きしめられると安心する自分が、現状維持を訴え続けて……私は、それを選んでいるから。