Two Strange InterestS

 事件が起こったのは、その後。私たちがそれぞれに買い物をして、その店を出た瞬間である。


「――ぁっ!」


 近くで誰かが息をのんで言葉を失ったような、そんな声が聞こえて。
 何かあったのかと思って周囲を見渡してみると……向かい側にある洋服屋から出てきた女の子が、私たち――というよりも私を、その見開いた目で見つめていたのだ。

 視線が、交錯する。それはほんの一瞬。

 長い髪の毛に、可愛らしいパステルピンクのワンピースが似合う彼女は……私を思いっきり差別的な目で見つめると、スタスタとどこかへ歩いて行ってしまう。
 一度も振り返らず、まるで汚いものから逃げるようにスタスタと。

 正直私は、誰だか分からなかった。でも、すぐに思い当たる人物が一人。
 あの美少女は、そう簡単に忘れられない。ファーストインパクトも強かったから尚更。

「どしたの都。知り合い?」

「んー……ちょっと、ね」

 会話を交わしたわけじゃないから確信できないけど……あの態度、完全に軽蔑されたというか、何というか。

 きっと、こういう趣味を持っているタイプは好きじゃないんだろうな……さっきの彼女――新谷氏の後輩である林檎ちゃんが私に向けた視線を思い出し、再度、でも違う意味でため息をついてしまう自分がいた。